子供の歯が生えない場合の原因と対処法を解説

カテゴリー:

小児歯科

子供の歯が生えない場合の原因と対処法を解説

はじめに

私たちの歯は、生えてくる順番や時期などがある程度決まっています。それは乳歯も永久歯も同じです。それが標準よりも遅れていたり、生えてくる兆しが見えなかったりする場合は不安を感じてしまうものですよね。

同年代の子はもうすでに大人の歯に生え変わっているのに、自分の子はいつまでも歯列に隙間がある、あるいは乳歯が残ったままでいる。そうした悩みを抱えている親御様は、まず歯の生え変わりに個人差があることを知っておいてください。また、歯が生えない原因は、もともと永久歯が存在しない場合と、何らかの理由で萌出が邪魔されている場合の2つに分けられる点も理解しておきましょう。

今回はそんな子供の歯が生えない原因と対処法をわかりやすく解説します。

 

もともと永久歯が存在しないケース

もともと永久歯が存在しないケースを「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」といいます。永久歯の先天性欠如は、「乳歯が抜ける前に発見できた場合」と「乳歯が抜けてから発見した場合」とで対処法が少し異なります。

乳歯が抜ける前に発見できた場合

○乳歯を長持ちさせる

乳歯の先天性欠如は、定期検診や虫歯治療でのレントゲン撮影で偶然見つかることが多いです。まだ、乳歯が抜けておらず、健康な状態であれば、そのまま長く使い続ける道を模索します。乳歯が虫歯になったとしても、安易に抜歯はせず、治療をしっかり行って保存に努めます。本来であれば次に生えてくるはずの永久歯が存在していないので、できる限り長く、乳歯に頑張ってもらう必要があります。それでも乳歯を一生涯使い続けることは難しいため、どこかのタイミングでブリッジや入れ歯、インプラント治療を受けることになります。

○適切な時期に抜歯をして矯正する

乳歯を長持ちさせることが難しい症例では、適切な時期に抜歯をして歯並びを整えます。具体的には、抜歯によって生じたスペースを矯正によって塞ぎ、歯並び・咬み合わせを整えます。お口の状態によっては、別の部位の永久歯を抜歯しなければならなくなることもありますが、結果的にはお口の健康の維持・増進に寄与するためご安心ください。

乳歯が抜けてから発見した場合

乳歯が抜けてから永久歯の先天性欠如を発見した場合、学童期では部分入れ歯のような装置を装着することが多いです。この時点でブリッジやインプラントといった固定式の装置を装着してしまうと、周囲の歯や組織の発育を阻害してしまうからです。成人してからは、通常の入れ歯・ブリッジ・インプラントから治療法を選択することになります。

 

永久歯はあるが生えてこられないケース

乳歯の虫歯が原因で永久歯が生えてこない

永久歯が生えてこない原因として意外に多いのが「乳歯の虫歯」です。乳歯の虫歯が重症化すると、歯の根の先から細菌などが漏れ出て、すぐ下に控えている永久歯に悪影響を及ぼします。乳歯が虫歯で早期に脱落すると、永久歯に萌出を促すサインが送れなくなり、永久歯はそのまま顎の骨の中にとどまってしまうのです。

○対処法

乳歯の虫歯を放置しないことが何より重要です。「乳歯はいずれ永久歯と生え変わるから」といって放置してしまう親御様もいらっしゃいますが、それは絶対におすすめできません。乳歯が虫歯になったらすぐに歯科を受診して、早期治療に努めましょう。もうすでに乳歯が虫歯で脱落している場合は、顎の骨に埋まっている永久歯を引っ張り上げる処置で萌出を促します。

過剰歯が邪魔をして永久歯が生えてこない

私たちの歯は親知らずを除くと全部で28本生えてきますが、人によっては29本や30本生えてくることがあります。そうした余分な歯を専門的には「過剰歯(かじょうし)」と呼び、永久歯の萌出を邪魔することがあるため要注意です。

○対処法

過剰歯を抜くことで、永久歯が正常に生えてきます。場合によっては過剰歯を抜歯しても永久歯が生えてこないこともありますが、そうしたケースでは永久歯を引っ張り上げて萌出を促します。

 

■まとめ

永久歯が適切な時期に生えてこない場合、積極的な処置が必要なケースとそうでないケースがあります。今回は、積極的な処置が必要となるケースを中心に解説してきましたが、実際は精密検査を行ってみなければわかりません。治療が必要な場合も矯正や入れ歯、ブリッジなどさまざまな選択肢があることから、お子様の発育状況を鑑みて慎重に検討する必要があります。それだけに、永久歯の萌出の遅れは子供の発育・成長に精通した歯科医師に診てもらうのが一番です。当クリニックにもお子様の歯科診療に精通している歯科医師が在籍しておりますので、安心して治療をおまかせください。

ページトップへ